
きれいな紅葉にほっとしたのも束の間、急登、木登り・・・

いやなクサリ場を登っていく。

左に見えるのは下山予定の女坂?
その向こうは榛名山かな?

紅葉がきれいなコルから30分ほどでP3の懸垂下降点に着く。
リーダーのYaさんが最初に下りて行くと何やら驚く声が聞こえてきた。
心配して待つがなかなか次が下りてよいという声がかからない。
ますます不安になるが待つしかない。
ようやく声がかかり、2番目にわたしが下りる。
下りてみると時間がかかった理由が分かった。

下り立ったところにはテラスがなく、
岩に付けられた鉄棒に乗ってトラバースしなければならない。
しかも2本の鉄棒の間隔が広くて
わたしのような短足にはヒョイと移ることができない。
バランスを取りながら間に1歩岩に足を置いてようやく移動できた。

テラスからはクサリが斜め上に伸びており、それに従って斜上する。
ハーネスに付けたシュリンゲで自己確保しながらトラバースする。
クサリは錆びて弱っているので体重はあまりかけられない。
ボコボコ出ている岩もはがれないとも限らない。
とにかく慎重かつ素早く通過したい。
クサリにかけられる大ぶりのカラビナを2枚持ってきてよかった。

斜上が終わった後にクサリを伝ってクライムダウンし、コルに着く。
ここには狂い咲きなのかミツバツツジが咲いていた。

コルからは正面の壁を登るという。
木の枝がジャマしてよくわからないが、
難しそうに見えたのでロープを出して一人ずつ登った。
実際登ってみるとそれほど難しくなかった。

壁を越えて左に回り込むと急なルンゼ状の地形になり、
そこを登って最後は左に登って行く。

何重にもシュリンゲがかかった支点があるコルに到着。

向こう側は切れ落ちていて覗くのも怖い。
ここが星穴のコル(星穴岳西側のコル)であり、ここから懸垂下降すると
むすび穴に降り立つことができる場所だった。
その時はそんなこともわからず、早く安定したところに行きたいと思っただけだが。
とにかく主稜線に出たようなのでもう恐ろしいところはないハズとも思った。

越えてきたP3が木の間に見えた。

コル東の岩壁の北側基部を回っていく。
この岩壁の上が星穴岳の山頂だということもこの時は理解していなかった。

表妙義の主稜線が見える。
山頂岩壁の東側にも支点があった。
こちらは射抜き穴に下りる北側の支点だ。
今回はこの支点から射抜き穴に下りてむすび穴に移動して両方を見学、
主稜線に登り返すという計画だった。
しかしこの時すでに14:30だったので、
穴の見学は翌日にして山頂に行くことになる。

写真の1枚岩の上が星穴岳東側のコル。
山頂に行くにもこの日の泊り場に行くにもそのコルに上がらなければならない。
固定ロープがあってそれをつかんで登るようになっているのだが、
この時はそのロープが岩の上に巻き上がってしまっていた。
Yaさんがトライする。
ランニングビレーをとるピンもないので思い切って動けず苦戦。
トライしては下りるを何回か繰り返す。
最後にはザックおろして空身になって登り切ってくれた。
わたしは確保してもらっても登るのが大変でコルに着いた時にはヘトヘト。
「もう山頂には行かなくていい。」と言ってしまう。
コルから山頂に行くにもまた岩を登らねばならないのだもの。
Yaさんのザックを引き上げる際に途中で引っかかってしまい、
Yaさんがクライムダウンして回収するなど時間がかかる。
その間にわたしは少し元気が取り戻せた。
Yyさんが「ロープで確保しますから行きましょう。」
と言ってくれてやはり山頂に向かう。

東のコルから山頂への登り。
クサリがあるとは言え、両側は切れ落ちていて、
まんがいち手を滑らせたら一巻の終わり。
この岩を登りきると灌木のはえた細長い頂上部に着く。
何の標識もないのでここが本当に山頂なのかと疑う。
「山頂なら標識があるはず」とYaさんがいうので西へ進んでいく。

1番西の端っこに『星穴岳』の手書きの標識があった。
そこは三方が切れ落ちている上、灌木が少ないので
立ち上がると下の景色が見えすぎてクラクラした。
灌木にセルフビレーをとってしゃがんで記念撮影する。

山頂から西岳を見る。
この日は西岳へのバリルートを30分ほど行ったところにあるという岩屋に泊まる。
まず東のコルへ懸垂下降する。
西岳への道をたどるとすぐにナイフリッジ状の岩を
トラバース気味に下るところがあった。
ここも足がすくんで動けず、ロープを出してもらい通過する。
1段クライムダウンした後にロープを解いて固定ロープに導かれてまたトラバース。
ここはカラビナの架け替えで自己確保する。
クサリがなくなった後は急な斜面を下る。

もう暗くなってきており、空には月と1番星が輝いている。
灌木の中に入るとさらに見え難くなる。
足元だけを見て下の様子が見えないのはかえって良かったかも。
真っ暗になったらビバークするしかないかと思ったころ岩屋に着いた。

その日は真っ暗で写真が撮れず、この写真は翌朝のもの。
岩屋は面積は4~5人用テントぐらいはあるけれど
高さは30~50㎝くらいで座るとわたしでさえ頭がつかえる感じ。
埃っぽくて快適とはいいがたい。
幸い雨が降る心配はないので、わたしは外で寝ることにした。
岩屋前の広場は傾斜がきつく、その先は急斜面で
転ぶとどこまでも滑っていきそうなところだ。
ロープを張ってカラビナで自己確保しておくことにした。
眠った場所もかなりの傾斜があって、
眠っている間に滑っていきそうなので
横の木にシュリンゲをかけて確保して横になった。
8:00裏妙義国民宿舎跡―8:30星穴新道に入る―9:40P1手前―10:45P2手前―12:20P3懸垂下降点―14:20星穴のコル―16:20星穴岳頂上―17:30岩屋