12月29日(日) 天気:晴れのち雪、風あり
前日の雪はやんでいた。
積雪量も増えるほどではなかった。
天場ではほとんど風は感じないが、
上空の風は強いようでゴーっという音がすごい。
この日は徳沢から蝶ヶ岳を往復する予定。
かなりの長丁場なので朝早く出発した方が良い。

徳沢にテンパっている人はほとんど蝶ヶ岳を目指すはずだが、
まだ誰も出発した様子が見えない。
ずるい考えかもしれないけれど、
最初に歩くよりは誰かの後に着いて行った方が楽ができる。
しばらく様子をうかがっていたが、仕方なく出発する。

空は晴れて白い明神岳が浮かび上がっている。

まだ暗い。

トレースがなければ日帰りで蝶ヶ岳まで行くのは絶対に無理。
あるかどうか不安だったトレースは登山口からしっかりあったのでほっとする。
前日雪が降っていたのにくっきりしたトレースに見えたので
当然先行パーティーがいると思った。

登り始めてすぐに樹間から見える山が赤く染まり始める。

モルゲンロートに染まる明神岳。

下部はそれほど雪は多くない。
急なのでアイゼンを付けた。

明神岳は15分もすると真っ白な姿に戻った。
1時間ほど登ったところでトレースが二手に分かれた。
よりはっきりして見えた左のトレースを追っていくとトラバースした後、
新雪の急登をもがいて登ることになり、突然トレースがなくなった。
トレースが分れたところまで戻って今度は右に進む。
ところがこちらも少し上でトレースはなくなった。
てっきり先行者がいると思い込んでいたのに・・・
どう探してもないものはない。
前日偵察にでも登った人がここで引き返したということなのか?
この日はわたし達が1番乗りだったということらしい。
これで蝶ヶ岳まで行くことはあきらめるしかない。
しかしせめて長塀山くらいまでは行きたい。
ワカンをつけている間に泊まり装備の単独氏と
日帰り装備の男女の2人パーティー(あとでK山岳会の方と判明)
が先行してラッセルしていった。
この3名の方とわたしたち2人合わせ5名で交替しながらラッセルで登って行った。

わたし達もワカンをつけて後を追う。

ラッセルするK山岳会の方と続く単独行氏。

ラッセルするH。
長塀尾根は地形的特徴がなくトレースがないとルートファインディングも難しい。
今回は場所によっては登山道が溝になってわかる部分もあったが、
ほとんど赤テープが頼り。
木の幹に直接赤丸が書かれていたりもするが、
積雪量が増えれば見えなくなりそう。
3月に行った時はルートファインディングにも苦しめられた。

もちろんわたしもラッセルした。
その後単独氏が大休止したのか、しばらくついてこなくなった所に
代わって日帰り装備のブルーのウェア氏が加わりラッセルを続ける。

後からラッセルに加わったブルーウェア氏。

5時間登ったところで『蝶ヶ岳まで3km徳沢まで3km』の看板を見る。
まだ半分かと愕然とする。
これで随分テンションが下がってしまった。
ここから少し登ったところで12時となり、
ブルーウェア氏K山岳会の方ともに行動中止して下山していった。
わたし達は未練たらしくもう少し登ったが、
長塀山までもまだまだ遠く、景色の変化も全くないので
12時半に下山することにした。
その時、単独氏が追い付いてきて一人さらに上を目指して登って行かれた。

最高到達点2400m付近。
単独氏のトレースのみが続いている。
下り始めると後ろには後続パーティーがいくつも続いていた。
この時間に登り続けるのは全て泊まり装備のパーティーだ。
これだけの人数が入っていれば翌日はトレースバッチリで
日帰りでも蝶ヶ岳まで行けたかもしれないとちょっと悔しかった。

途中でワカンも外し、徳沢まで2時間で下れた。

天場に戻るとさすがにぐったり。
この日も夕方からは雪がちらつき風が強くなった。
上部で天泊の人は寒いだろうな。
6:25徳沢―7:45~8:00ワカンつける―11:40~50蝶ヶ岳まで3km地点―12:40下山開始―14:50徳沢